研究概要 |
1.量子群$U_q(s1_2)$における新たな公式を導き,それを用いて無限次元表現に関する可積分条件を分析し,可積分であるための十分条件を与えた. 2.1次元タイル張りに対して双代数を定義し,その代数構造と標準加群の構造を解明した.特に,タイル張りが局所識別不能であるための条件を代数的に特徴付けることに成功した. 3.拡大アフィン・リー代数の公理を,より拡張した形に整理して,そこでも『カッツ予想』が正しいことを証明した.ひとつには,カルタン部分代数の有限次元性を外したこと.これは本質的な拡張である.今までの議論は有限次元性に負うところが多大であった.さらに,等方的ルートの非孤立条件も外した.これにより,ハイゼンベルグ・リー代数などのリー代数も考察の範疇に入り,適用範囲が大幅に広がった.また,ルート系が離散的であるという条件も外した.これらにより,定理の著しい拡張が得られた.結果的に局所拡大アフィン・リー代数の概念の導入に繋がり,局所有限ルート系との関係も解明し,最も広い立場で『カッツ予想』の証明を与えた. 4.退化次数2の場合の拡大アフィン・リー代数に付随する完備随伴群についての研究を完成させ,群表示や普遍中心拡大などの代数構造を決定した.アフィンではない拡大アフィン・リー代数に付随するものとしては,最初の結果となる。 5.1次元タイル張りに付随するリー代数と群を構成し,それぞれにガウス分解の存在を証明し,新たな不変量創出への道を開拓した.さらに,双代数や表現論と関連させることにより,組合せ論的な非常に画白い不変量を見つけ理論の一層の発展に寄与した. 6.一意分解代数上の$s1_2$に対して,種々の共役性定理を証明した.Cartan部分リー代数の共役性や,Jacobson-Morozov型共役性定理などがその例である.これらの応用として,同型判定のための必要十分条件を決定することができた.体の標数が$2$以外の一般でよく,またSpecの有理点が空集合でもよく,さらに存在定理だけではなく,具体的な自己同型の表示も与えられている.
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