研究概要 |
本研究ではつぎのことを成果として得た。 1.(関口)琉球大学の加藤満雄教授と,正多面体群の不変式,アッペルの超幾何関数のパラメータが特別な場合のモノドロミー群,そしてランク4の既約な実鏡映群の不変式との関係を調べた。特に,2次の不変式を法とすると,残りの不変式を生成する多項式は因数分解するものをとれる。さらにこれらの因数分解とアッペルの超幾何関数の退化が関係しているという知見を得た。この成果をEuropean Journal of Combinatoricsに発表した。 2.(関口)2004年9月に山梨県河口湖町の富士桜荘において,Conference on Nilpotent Orbits and Representation Theory 2004が開催されたが,このコンファレンスの主催者として組織運営をした。またWaterloo大学(Canada)のD.Z.Djokovic教授とWilfrid Laurier大学のKaiming Zhao教授との共同研究の成果を,この機会に,Djokovic教授がOn the geometry of unimodular classes of bilinear formsというタイトルの講演で発表した。 3.(関口)実射影平面の8直線配置とE8型ルート系について調べた。武庫川女子大学の福井哲夫助教授(現教授)との共同研究である。E8型ルート系の10個のルートから構成される図形から射影平面のある条件を満たす単純8直線配置への写像を定義すると,これはE8型ワイル群の作用と共変であることを示した。この成果を2005年1月に京都大学数理解析研究所の研究集会で,また同年3月にアムステルダム大学のセミナーで説明した。それをA remarkable simple eight line arrangement on a real projective planeという論文にまとめている段階である。 4.(関口)半単純対称空間のc関数の計算をまとめている。特に,普遍被覆空間にある対称空間の場合を詳細に調べた。またこれに関連して,SL(n,R)/SO(p,n-p)の場合にc関数の対角化についての知見を得た。
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