研究分担者 |
吉野 雄二 岡山大学, 理学部, 教授 (00135302)
中村 博昭 岡山大学, 理学部, 教授 (60217883)
平野 康之 岡山大学, 理学部, 助教授 (90144732)
田中 克己 岡山大学, 理学部, 助教授 (60207082)
池田 岳 岡山理科大学, 理学部, 講師 (40309539)
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研究概要 |
表現論に現れるシューア函数,およびその射影的類似物であるシューアのQ函数について認識を深めた.平成15年度は,アフィンリー環D^{(2)}_2の基本表現の斉次実現のウエイトベクトルとして長方形のヤング図形に付随するシューア函数をとることができ,それは非線型シュレーディンガー方程式系の斉次τ函数を与えることを厳密に証明した.基本的なアイデアとしては表現空間,作用素などをすべてフェルミオンのことばで書き下し,ボゾン・フェルミオン対応で具体的な多項式を導出する,というものである.また今一つのアフィンリー環A^{(2)}_2の基本表現についても同様の考察が可能である.平成16年度は2被約シューア函数をシューアのQ函数で展開したときの係数についてその性質を詳しく調べることを問題とした.5月に次数が小さい場合に実験的にいくつか計算してみたところ,著しい特徴があることに気がついた.まず登場するすべての係数が非負整数であること,係数をある仕方で行列の形に書いてみると,その行列がいわゆる「強下三角」になっていること,などである.表現論において非負整数が登場すればそれは何らかの「物の個数」を勘定しているのではないかと予想される.大学院生の青影一哉と一緒に更に詳しく調べたところ,我々の係数は「スチンブリッジ係数」と呼ばれているものに一致していることを見出した.ステンブリッジは全く別の文脈からこの係数にたどり着き,その組合せ論的な記述,すなわち「物の個数」としての素性も明らかにしていたのだが,それが2被約シューア函数とQ函数の関係となって姿を現わしたのである.これに関連して対称群の「カルタン行列」の単因子を与える簡明な公式を見出した.10年以上前にコペンハーゲンのオルソンが公式を発見したが,それは母函数を用いる煩雑なものであった.我々の公式は,ヤング図形の長さから直ちにわかる直接的なものである.
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