研究概要 |
モジュラー関数体の定義方程式の有限体上の有理解を考察するために,有限体上の楕円曲線の有理点群の研究を行った.特に,虚数乗法をもつ楕円曲線から還元して得られる有限体上の楕円曲線にたいして,フロベニウス準同型写像のトレースの符号の決定方法を与えた.その方法により,判別式が2,3,4または5で割り切れ,類数が2または3であるような虚2次体の整環を虚数乗法にもつ楕円曲線に対して,完全に符号を決めた.これらの結果は「Trace of Frobenius endomorphism ot an elliptic curve with complex multiplication, Bull.Australian Math.Soc.,70(2004)125-142」として発表した. 有限体上で巡回的有理点群をもつ楕円曲線を系統的に構成するために,SL2(Z)のモジュラー関数体の素数位数の部分群でその関数体の種数が0となるものを考え,その関数体の生成元によるモジュラー不変関数の多項式表示を求めた.この結果は中澤直也氏との共著論文「A representation of the invariant function as a polynomial of degree II, DMIS Research Reports 05-03(2005)1-4」に発表し,現在学術雑誌に投稿中である. モジュラー関数体の定義方程式の解に対応する楕円曲線を決定するために,定義方程式を与えるモジュラー関数体の生成元により,モジュラー不変関数を有理関数として計算する方法をヘッケ群「0(N)の場合に研究した.非ワイエルシュトラス点である一つのカスプでのみ極をもつモジュラー関数を構成すれば,生成元,定義方程式,モジュラー不変関数の有理関数表現が計算できることを示し,さらに,計算の基になるモジュラー関数の構成法を与えた.この結果は「Representation of modular invariant function by generators of a modular function field, DMIS-RR-05-2, arXivmath.NT/0504261,13Apr.2005」として発表した.また,上記のモジュラー関数の表「Table of represent ations of J by generators of a modular function fields」をWeb上(http://www.las.osakafu-u.ac.jp/^-ishii/)で公開した.
|