研究概要 |
研究期間の前半は分担者の木村達雄氏とその研究グループにいる筑波大の杉山和成氏とともに2単純正則概均質ベクトル空間の相対不変式とそれに対応する有理指標を全て明示的に構成できた。また、それと平行して,金沢大学の若槻聡氏との共同研究により、E8型のDynkin-Kostant型概均質ベクトル空間について調べ、その空間の基本相対不変式、b-関数、Igusa local zeta functionをそれぞれ明示的に構成することが出来た。 また本研究のための情報集収のため東京大学の谷口隆氏には、アメリカのプリンストン大学のBhargavaの最近の研究について詳しく説明を受け、大変有意義な情報を入手出来た。 また、研究期間の後半には、立教大学の佐藤文広氏の指導と協力により、本来の目的をある程度達成できた。概均質ベクトル空間の相対不変式ではないが、関数等式を満たす多項式を沢山得ることに成功し、また概均質ベクトル空間の新しい分類問題を見つけることが出来た。これらの研究は現在も進行中である。研究期間中に得られた成果を列挙すると、 (1)I型2単純概均質ベクトル空間全てに対し、その基本相対不変式及びそれに対応する有理指標を明示的に構成した。また新しい構成方法もそこで見つけた。 (2)E8型Dynkin-Kostant型概均質ベクトル空間の基本相対不変式,b-関数,Igusa local zeta functionをそれぞれ明示的に決定した。 (3)Clercの論文で示唆されている非概均質ベクトル空間の相対不変式で関数等式を満たすものの再構成をClifford環の表現から再構成出来た。 (4)Clifford環Cl(p,0)とCl(q,0)のテンソル積(n=p+q)の表現から多くの非概均質ベクトル空間の相対不変式で関数等式を満たすものが得られた。 (5)いくつかの概均質ベクトル空間のreal formの無限系列がこのClifford環のテンソル積の表現の表現から得られる。 (6)また本来の研究目的とは違う方向での副産物として、Clifford環の表現を生成する対称行列たちで、commute, anticommuteの関係式を満たすものの構成が必要になるが、これらの対称行列の組み合わせ論的な構成方法を発見した
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