研究概要 |
1.複素単純リー代数の随伴多様体の接触型階数分解の階数1の部分空間による切断として定義したFreudental多様体について,階数0部分リー代数に対応する随伴群のリー部分群の自然な作用による等質性のアプリオリな証明,階数1部分空間の随伴多様体に対応する軌道を含むすべての軌道の統一的記述を始めとする射影部分多様体としての性質を,階数1部分空間が満たすSymplectic3項系の公理から直接導き出すことについての論文を出版した[H.Kaji and O.Yasukura](2004).特に,階数1部分空間がSymplectic3項系の公理を満たすことの証明も改良することができた.これらの結果は,山口清-浅野洋(1975),浅野洋(1975)による複素単純Symplectic3項系と階数2以上の複素単純リー代数との1対1対応関係に基づき,Symplectic3項系の公理からアプリオリに導いたもので,複素単純リー代数の分類結果を用いた各型ごとの議論を回避している.また,浅野洋によるSymplectic3項系の部分代数構造に関する未出版の結果に対しては,その複素射影幾何的意味付けを与えている. 2.中心が1次元の2つの簡約リー群でリー代数が同型であるがリー群としては同型でないような典型例を挙げた.また今までそれらが非同型であることの証明が出版されていない現状に鑑みて,その簡単な証明を,日本数学会の機関紙「数学」(岩波書店)に寄稿した.この結果は,B型D型の複素単純リー代数の接触型階数別分解の階数1の部分空間の階数0の部分リー代数に対応する随伴群のリー部分群の自然な作用による軌道分解結果を考察することにより発見されたものである.
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