研究概要 |
本研究では,ケーラー・ファイブレーションの微分幾何学を平成15年度と16年度にかけて研究した。特にその複素フィンスラー幾何学へ応用するために,その基礎的な研究を行った。主な研究テーマは平成15年度は等長なファイバーをもつケーラー・ファイブレーションについて研究し、16年度はRuled surface上のケーラー計量を研究した。 主な研究内容はケーラー・ファイブレーションの全空間のHrmite幾何学,すなわち接続の理論を研究した。特に,その全空間が正則ベクトル束Eの射影化束P(E)の場合は自然に,Eのフィンスラー接続へ導かれることを示すことができた。その結果,複素フィンスラー幾何学における射影曲率を導入し,複素フィンスラー計量の射影的平坦性を特徴付けることができた。また,P(E)が等長なファイバーをもち,しかも射影が底空間へのケーラー的沈め込みであるという仮定のもとで,P(E)のケーラー計量がスカラー曲率一定の場合を論じた。特に,底空間がコンパクトなリーマン面で,全空間がMinimal ruled surface P(E)の場合には,ベクトル束Eが射影的平坦な構造をもつことから,Eの代数幾何の意味での安定性との関連を議論することができた。 主な研究成果は16年度に発表した論文の他,ハンガリー・Debrecen大学(平成15年),中国南開大学(平成16年)及び仙台市・松島で開催された国際研究集会で報告した。また,研究成果の一部を論文"On the Chern-Finsler connection on complex Finsler bundles"として纏め,投稿準備中である。
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