研究概要 |
Rat_k(CP^n)でS^2からCP^nへの基点を保つ正則写像空間を表す.Rat_k(CP^n)の安定ホモトピー型は,対応する連続写像空間Ω^2S^<2n+1>のSnaith stable summandsで記述できるという定理は,報告者及びCohen-Cohen-Mann-Milgramにより証明されていた.本研究の目的は,この定理を次の2方面で一般化することである. (i)Rat_k(CP^n)の上には,複素共役による対合が作用する.この対合と可換な正則写像全体をRRat_k(CP^n)で表す.このRRat_k(CP^n)のホモトピー型は,n=1のときにはBrockett及びSegalにより決定されていた.しかし,n【greater than or equal】2にときには未解決であった.本研究の第一の成果はRRat_k(CP^n)の安定ホモトピー型を完全に決定したことである.この際,対応する対合同変連続空間は,ΩS^n×Ω^2S^<2n+1>である. (ii)P^l_<k,n>で,多項式f(z)=z^k+a_1z^<k-1>+【triple pond】+a_kで,n重根が高々l個であるものの空間を表す.Arnoldは,1970年にP^l_<k,n>のホモロジーを数学的帰納法により決定しようとしたが,未解決な部分が多かった.本研究の第二の成果は,P^l_<k,n>の安定ホモトピー型を完全に決定し,そこからホモロジーも読み取れることを示したことである.従って,Arnoldの問題は完全に解決されたことになる.この際,使用するstable summandsは,Rat_k(CP^<n-1>)のある一般化のstable summandsである.この一般化は,k次多項式のn組で,共通根が高々l個というもののなす空間である.つまり,単独の多項式のなす空間と,多項式のn組のなす空間との間の関係を解明したわけである. なお,(ii)の研究実績は高く評価されている.一例として,研究代表者は,2005年7月に東大で開催されたCOE国際会議で主要講演を行った.
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