研究概要 |
1.スムース測度とエネルギー測度が同時に変化する現象を密度関数の列の変化として捉え,次の結果を得た.1次元ディリクレ形式のスムース測度,エネルギー測度が絶対連続であり,その密度関数が一致している場合,対象となる密度関数のグラフを,パラメーターを取り替えて取り扱うことにより,曲線の長さが有界な関数族として捉えられ,そのグラフが一様収束する部分列を取り出すことが出来る.極限グラフが単純な場合には,極限グラフからパラメーター空間の分割が得られ,その分割を1次元区間に引き戻し,そこから求める広義拡散過程の族が得られ,それらの生成作用素のスペクトルの和集合が,途中の変形ブラウン運動の部分列のスペクトル全体の極限となっている.一般的に極限グラフからパラメーターの分割を得ることは容易ではない.しかし,候補となりえる正規化された測度(再分割された区間上で定義された測度)全体が作る空間がもつ特性を引き出すことができ,どのような測度を選んでも状況が不変であることが分かる.これにより,共通部分があってもその部分は,制御可能な区間であり,その区間上での極限過程の挙動の様子も解明できた. 2.広義拡散作用素のスペクトルが離散的な場合は,到達確率の条件付きで考えると非自明な極限分布が現れることが一般的に証明できた.更に,広義拡散過程の,標本路が状態区間の端点へ到達しないという条件のもとでの時刻無限大での漸近分布を示し,標本路の状態区間の端点での挙動が漸近状態に与える影響を明らかにした.広義拡散作用素のスペクトルが点スペクトルからなるか連続スペクトルからなるかによって,漸近挙動の状態が大きく異なることが分かった. 3.シェルピンスキーカーペット格子とその族について浸透過程モデルを定義し,自明でない相転移の有無について研究し,相転移が消滅するモデルの存在を示した.
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