配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
競争関係にある生物の個体群密度の動態を記述する一般化された競争系を扱い,その正値定常解の存在,安定性および大域的な分岐構造を調べることにより,生物の共存メカニズムを解明しようとしている.これまでの研究では,分岐理論や比較定理などの数学的手法および,数値計算や数値的検証法などの数値的手法を相互補完的に用い,定常解の空間的様相と固有値分布を調べることにより,生物の住処を区間とした競争系に対して,正値定常解の大域的な分岐構造に関するいくつかの結果を得てきた.しかしながら,生物の住処が2次元または3次元の領域であることから,従来の結果で十分であるとは言えないように思われる.そこで,本研究では,生物の住処を球の内部領域とし,回転対称性をもつ正値定常解の分岐構造を調べることとした. 生物の住処が区間の場合とは異なり,正値定常解の集合の性質があまり分かっていないために,現在のところ大域的な分岐構造の特定に成功していない.しかしながら,単調な正値定常解の集合に関しては,その第1要素または第2要素の球の中心での値を新たにパラメータとして取り直すと,その集合はある関数のグラフとして表現できることが示せている.また,数値的検証法を用いた正値定数定常解の周りでの局所的な分岐構造の解析により,正値非定数定常解の集合上でサドル・ノード型の二次分岐の出現が確認できている.これらにより,大域的な分岐構造を決定するための一つの手がかりが与えられ,生物の住処が高次元の場合にも正値定常解の集合の構造が徐々に分かってきている. 今後の課題としては,例えば,正値定常解の集合がどのような解で構成されているのか,全領域での正値定常解にはどのようなものがあるのかなどがある.
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