研究概要 |
分布の汎関数(核関数)で表される母数に関わる統計量として、von Mises(1947)のV-統計量およびHoeffding(1948)のU-統計量、が有名であり広く研究されて来た。研究代表者大和(1977)はこれと異なるLB-統計量を導入した。また、これら3つの統計量を含む一般的な統計量、U-統計量を戸田・大和(2001)は提案し、Berry-Esseen boundを求めている。本研究は、このU-統計量の線形結合(凸結合)について、更に研究を進めたものである。 第1の結果として,U-統計量の線形結合について、特に裾の確率の評価に有効な大偏差確率を、詳細に調べた。また,核関数が退化している場合に,U-統計量の線形結合の関数的中心極限定理(不変原理)を示した。更にEdgeworth展開を求めた。当初の研究では統計量を標準化したものについて標本の大きさの-1乗のオーダーで求めたが,応用上有効なスチューデント化に基づいては,標本の大きさの-1/2乗のオーダーでしか求められなかった.引き続き,スチューデント化されたU-統計量の線形結合について,標本の大きさの-1乗のオーダーでEdgeworth展開を求めた。次の成果は,新たに2標本の場合のU-統計量の線形結合(凸結合)を提案したことである。ただし、1標本の場合とは全く異となる問題が生じ解析が困難である。漸近正規性等の性質はU-統計量と同じであるので違いを示すために、Edgeworth展開を求めた。本研究では、標準化した統計量について、2標本の共通の標本の大きさの-1/2乗のオーダー迄を求めている。
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