研究概要 |
本研究では数学教育支援環境を"学ぶ支援環境"を視点において構築するために必要な理論を考え,それに基づいた支援環境を試作した。同時に,今日の支援環境のインターフェースとして."情報視覚化"は不可欠の要素であると考え,グラフ文法を用いて情報を視覚化する基本理論を考え,それを応用したシステムを開発した。教育環境構築に当っては教育の数学的構造を考え,その原理に基づいて教材となるリソースを用意するために必要な基準を定義した。リソースとなるドキュメントはXML形式で作成されることになるから,ドキュメントのvalidation基準を定めMathtext.DTDとした。このドキュメントはMathtext.RDFというRDFに変換され支援環境を構築する。学習者の要求はオントロジーにより解析されて,必要な学習情報を抽出して必要部分をHTMLや印刷の形式に変換され,学習者に提示されることにより学習支援を行う。この方法は理科,情報科,英語科などの他の教科や指導要領についても適用可能と考える。一方,情報可視化は数学教育においても学生の図形認識やアルゴリズムの認識に有効な方法であると考えるが,コンピュータグラフィックス等の視覚情報教育教材が不足している。本研究では,そのための数学的内容を十分に検討した教科書と実際的な教材を同時に開発した。また,情報視覚化に関するグラフ文法に基づく基礎理論と応用に関する研究も行った。 従って,本研究は(i)数学教育環境構築の理論と試作,(ii)情報視覚化教材開発に関する研究,(iii)情報視覚化理論と応用に関する研究報告の3つの部分からなっている。数学教育環境構築の試作はインターフェースの部分が未完成であり,続けて研究中である。また,知識獲得過程の数学的構造に関しては未解決の部分が多いのでより進んだ研究が望まれる。
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