研究概要 |
漸近解析における消滅定理を無限遠点が頂点となるいくつかの角領域による開被覆に関するチェック・コホモロジーで表現するとき,データとして与える関数の漸近級数等に関する条件を加えて,分解する関数の漸近展開性について以前より詳しい剰余項の評価,漸近級数の係数の評価を伴う形まで精密化することである.すなわち,超漸近解析的な形の定理にすることである. これについて,Adri B.Olde Daalhuis氏,共同研究を推進させることができ,Level 1,Level 2の超漸近解析的な評価を伴う形に精密化できた.これらを非同次単独高階線形常微分方程式に応用して,発散解の超漸近性を知る方法も確立されている.その応用として,Bessel方程式に付随する非同次方程式の解,特にAnger関数についての応用例を計算した. Airy方程式に付随する非同次方程式の解への,特にScorer関数への応用を課題の一つと考え,Airy関数の無限遠点の周りでの漸近展開にについて再考察し,形式解を計算する見通しのよい方法を確立できた. また,上の研究に関連して,偏微分方程式の漸近解について研究しているWerner Balse,多変数の漸近級数の総和性について研究しているReinhart Schaefke氏を招聘することができ,多変数の関数に関する漸近解析における消滅定理(加法的な場合および乗法的な場合)の拡張可能性について議論をし,漸近性の条件を弱めた形での定理を確立できた.その際、仮定した条件は,筆者が例えば,Lecture Note in Math 1075, Springe Verlagで課したのとは違う.その応用部分については未完成である. 一方,一変数のBessel関数などの元になるKunmmer関数を解にもつ常微分方程式の多変数版にあたる合流超幾何偏微分方程式系について,基本解系,その漸近展開,ストークス係数を一般な超平面上の特異点の付近においては計算できた.これに類する計算はまだすべきものが残っている.
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