研究課題/領域番号 |
15540164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎解析学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大鍛治 隆司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20160426)
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研究分担者 |
山田 修宣 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066744)
井川 満 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80028191)
西田 孝明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70026110)
重川 一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00127234)
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
小池 達也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80324599)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ディラック作用素 / 固有値の非存在 / 極限吸収原理 / レゾナンス / 非相対論的極限 / スペクトル問題 / 一意接続定理 |
研究概要 |
研究代表者大鍛治は、1階楕円型システムの内、数理物理学における重要な方程式であるディラック方程式およびその一般化であるディラック型方程式について、固有値の非存在、スペクトルの絶対連続性、レゾナンス等の種々のスペクトル問題について考察した。さらに、ディラック型作用素の非相対論的極限についても考察を行った。また、ある2次元非コンパクトリーマン多様体上のディラック作用素のスペクトルがガウス曲率の符号に依存しないという興味深い結果を得た。 まず固有値の非存在については、ミュンヘン大学のH.Kalf氏、研究分担者の山田修宣氏と共同研究を行い、無限遠で発散するポテンシャルを持つ場合に、ディラック作用素が固有値を持たないための非常に優れた十分条件を求めた。さらに、大鍛治は、このようにポテンシャルが無限遠で発散する場合について、ディラック作用素に対する極限吸収原理を示し、そのスペクトルが絶対連続であることを明らかにした。これらの結果から、ポテンシャルが発散するとき、ディラック型作用素は固有値を持たないことがわかるが、一方、光速が無限大になる時、その極限作用素となるシュレディンガー型作用素は固有値を持つことが知られている。この現象の本質を明らかにするため、ディラック型作用素はレゾナンスを持つこと、さらに、光速が無限大になる時(非相対論的極限)、これらのレゾナンスが先のシュレディンガー型作用素の固有値に収束することを示した。 一方、ある2次元非コンパクトリーマン多様体上のラプラス・ベルトラミ作用素のスペクトル集合は、その多様体のガウス曲率の正負に応じて劇的に変化することが知られている。これにたいして、大鍛治はこのようなリーマン多様体上のディラック作用素について考察し、先のラプラス・ベルトラミ作用素の結果とは異なり、ガウス曲率の正負にかかわらず、常にスペクトルは実数全体で連続スペクトルのみであることを示した。 研究分担者山田は、生駒真氏との共同研究において、Aharonov-Bohm磁場を持つディラック作用素の一意接続定理を示すことに成功した。また、伊藤氏との共同研究において、遠方で発散するポテンシャルをもつDirac作用素の非相対論的極限におけるスペクトル集中についてK.Veselicの論文(Glasnik Mat.4,1969)の結果を拡張した。
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