研究課題/領域番号 |
15540206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
大域解析学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田村 英男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30022734)
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研究分担者 |
廣川 真男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
勝田 篤 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60183779)
岩塚 明 京都工繊大学, 繊維学部, 教授 (40184890)
伊藤 宏 愛媛大学, 工学部, 教授 (90243005)
山田 修宣 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066744)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 磁場による散乱 / ディラック作用素 / パウリ作用素 / アハラノフ・ボーム効果 / 零エネルギーレゾナンス / Aharonov-Bohm effect / scattering by magnetic field / Dirac operators / Pauli operators / resonance at zero energy / Dirac operator / Feynman-Kac formula / Pauli operator / zero energy resonance / magnetic scattering / Trotter-Kato product formula / Aharonov-Bohm field / point-like magnetic field / resolvent convergence / spectral theory |
研究概要 |
本研究は、磁場をもつ2次元Dirac作用素のスペクトル散乱理論を課題とし、とくに、磁場よるDirac粒子の散乱とSchrodinger作用素の零エネルギーレゾナンスとの関わりについて数学的な視点から解明を行った。2次元Dirac粒子(質量は0とする)の運動は、作用素D(A, V)=σ・(-i∇-A)+Vによって記述される。ただし、A(x):R^2→R^2は磁場ポテンシャルを、V(x):R^2→Rは電場ポテンシャルを、そしてσ=(σ_1,σ_2)は2×2Pauli行列を成分にもつベクトルを表す。電場ポテンシャルを有しないDirac作用素D(A,0)^2の自乗D(A,0)^2はSchrodinger作用素H_±=(-i∇-A)^2±bを対角成分にもつ対角型作用素(Pauli作用素)となる。ただし、b(x)はb=∇×Aによって定義され、磁場を表す物理量である。Schrodinger作用素H_±≧0はともに非負であるが、その零エネルギーでのスペクトル構造は異なる。例えば、磁場b∈C^∞_0(R^2)がコンパクトな台をもち、α=∫b(x)dx/2π>0によって定義される物理量(フラックス)が整数でないならば、方程式H_-u=0はL^2に属さない有界な解(レゾナンス)をもつ。一方、H_+u=0は有界な解をもたない。このように磁場をもつDirac作用素のスペクトル理論では、Schrodinger作用素の零エネルギーレゾナンスが自然に現れる。本研究では、レゾナンスが深く関与する次の2つの課題を追究した:(1)ソレノイド磁場をもつ作用素へのノルムレゾルベント収束:(2)小さい台をもつ電磁場による散乱.2つの課題はともに球対称性電磁場の場合には、物理系論文ですでに論じられてきたが、その結果はベッセル関数を用いる計算に基づくものである。本研究の大きな研究成果のひとつは、球対称性の仮定を外すことによって、具体的な計算の背後に完全に隠れ物理系論文では全く言及されることがなかったレゾナンスとの関係を数学的視点から明らかにしたことである。また、小さい台をもつ電磁場による散乱問題は、宇宙ひも(cosmic string)モデルにおいても現れ、数理物理の課題としても重要であるが、その問題への応用にも触れた。
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