研究課題
基盤研究(C)
三菱電機と共同研究により、PtSi CCD検出器の低温における特性評価を行った。この評価の中で特に現状のCCDにおける転送効率の動作条件による変化と限界値を明らかにするのが重要であったため、読み出しノイズの動作条件による依存性と最小値を合わせて調べた。さらに、宇宙環境においては、宇宙放射線による上記特性の劣化を十分に考慮する必要があるため、東京大学放射線施設のコバルト60によるガンマ線照射及び放射線医学総合研究所のHIMACプロトン照射施設を用いて放射線照射を行った検出器の特性評価を行った。放射線被爆を与えた素子に対して、低温下・小電荷環境下における電荷転送効率及びその特性変化を、駆動電圧条件などを変えながら系統的に測定を行い、上記検出器の放射線耐性評価を行った。また、読み出し雑音の測定は、上記測定と並行して、読み出し雑音をこれまで確認されていない小電荷伝送時において調査した。これらの評価結果に基づき、検出器内部の出力アンプ部の設計を見直し、低温下・低背景照度時の観測に必要な駆動条件における最良のノイズ値を得られる方法を検討し、三菱電機において電気的シミュレーションを行い、良好な結果を得た。これらの結果から放射線環境の厳しい、惑星探査機などでの宇宙環境において微弱光検出に使用可能なCCD素子の評価結果と設計方法の指針をまとめた。また、本研究に使用したPtSi赤外線検出器が金星探査計画において使用可能な放射線耐性を有すること、また、金星までのクルージング期間に黄道光などの微弱光源の測定に必要な性能を有することを確認することができ、上記のミッションでの検出器として搭載することが確定した。
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