研究課題
基盤研究(C)
位置天文学的重力マイクロレンズ(重力レンズ効果による位置のずれ)や光学的重力マイクロレンズ観測は、銀河系の構造の研究に大変有効な観測手法である。(1)近傍銀河の星を対象にした位置天文学的マイクロレンズ現象の観測大小マゼラン星雲(LMC, SMC)方向の位置天文学的マイクロレンズ現象の観測より、MACHOの種族問題を解決することが出来ることがわかった。(2)銀河系中心方向の星の集団によるマクロな位置重力レンズ効果銀河系中心方向を通して見える複数個のクエーサーは、銀河系中心方向の星の集団(銀河バルジおよび、銀河核バルジ)の重力によるマクロな位置重力レンズ効果を受けている。このマクロ重力レンズ効果の大きさは、銀河回転により、年間約1マイクロ秒角の固有運動として長期にわたり継続することがわかった。銀河系中心方向にある複数個のクエーサー間の相対的位置変化の測定より、銀河バルジと銀河核バルジの質量分布を知ること、ダークマター分布への制限が付く事を示し、成果の一部はすでに国際会議等で報告すると共に、現在、論文製作中である(3)マイクロレンズ現象による銀河系構造の研究日本・ニュージーランド国際共同研究MOA(Microlensing Observation in Astrophysics)グループのメンバーとして、LMC, SMC方向、および、銀、河中心方向の重カマイクロレンズ現象探査を行い、この副産物として、初めての非常に軽い惑星系を発見した(Beaulieu et al. 2006)。(4)近傍天体の重力マイクロレンズ現象の確定(多胡イベント)平成18年(2006年)10月31日、多胡昭彦氏によって発見されたカシオペヤ座の変光天体Var Cas 06を、いち早くマイクロレンズ現象であることに気づき、「近傍の星によるはじめての重力マイクロレンズ現象(=Tagoイベント)の発見」の論文を製作、投稿中である。このイベントが起きる確率は極めて小さく、偶然捉えたものか、あるいは、銀河系diskモデルが間違っているのか今後の検討事項である。もし、後者であるとすれば、Tagoイベントの研究は、銀河系構造の新しい見地を得ることできると共に、「重力レンズを用いた位置天文学的手法による銀河系構造の研究」の新しい発展を期待させる。
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