研究課題/領域番号 |
15540266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植松 恒夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80093194)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 弦理論 / ゲージ場 / 双対性 / 深非弾性散乱 / スピン依存パートン分布 / 摂動論 / QCD / 光子構造関数 / 探非弾性散乱 / スピン依存分布関数 / 構造関数 |
研究概要 |
本研究計画では、深非弾性相互作用の構造について、従来の摂動論的量子色力学ではあまり論じられてこなかった新たな特徴を弦/ゲージ双対性を基礎に研究を遂行した。最近の弦理論における大きな発展としてlarge N極限の超共形SU(N)ゲージ理論とAdS空間の超重力/弦理論との対応関係いわゆるAdS/CFT対応がある。ここではこの双対性を手がかりとして、ゲージ場と弦理論での深非弾性過程を解析し、深非弾性散乱過程の構造を解明することを目標とした。当該研究計画の初年度である平成15年度は、Bjorken変数が有限の値をとる領域を中心に、将来電子・陽電子線形衝突型加速器で重要となる偏極仮想光子の構造関数のQCDでの計算及び仮想光子中のクォークとグルーオンのスピン依存分布関数の解析を遂行した。また、弦模型での構造関数の理論的計算をAdS/CFT対応に着目し、small xで弦の励起状態が中間状態で寄与する場合について、偏極、非偏極構造関数両方の場合につき調べた(物理学会で口頭発表)。また、仮想光子中のクォークとグルーオンのスピン依存分布関数について、8月に米国のワシントン大学で開催されたスピン2003の会議において発表した。2年目の平成16年度は、将来の電子・陽電子線形衝突型加速器(リニア・コライダー)で重要となる2光子過程において測定可能な光子の偏極仮想光子の構造関数のQCDでの計算及び標的の仮想光子の質量効果の解析を遂行した。最終年度である平成17年度は、量子異常に関連する偏極光子構造関数、LHCとコライダーの物理を中心に、研究を遂行した。従来、弦模型では形状因子や構造関数はスケール変数xや運動量移行の2乗Q2について指数関数的に振る舞うと考えられてきたが、AdS/CFT対応に由来するwarp factorにより、べき的振る舞いが得られることが明らかになり、新たに偏極構造関数の場合につき、x, Q2依存性を調べた。さらに、カイラル・アノマリーに結びつけられる偏極光子構造関数g_1^γの1次モーメントに対するQCD和則のNext-to-next-leading-order(NNLO)の量子補正を求めた。口頭では、2005年10月に湘南国際村で開催されたRADCOR2005の会議において発表した。また、光子構造に関連して、一般化されたパートン分布に関係するDeeply Virtualコンプトン散乱を光子を標的とした場合に拡張する仕事に着手した。また、2007年に開始される予定のハドロン・コライダーLHCでの強い相互作用の効果について摂動的QCDの立場からの検討をKEKの研究者と行った。計画の実施においては、国内各地とりわけ、高エ研・横浜国大などの関連する分野の研究者との討論・研究交流が有益・不可欠であった。
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