研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ミュー粒子と電子の異常磁気能率を理論計算により求めた。素粒子標準理論のうち、特に、異常磁気能率への寄与が最も大きい、電磁気学的な寄与を摂動計算の手法によって求めることを行った。まず、ミューオンの異常磁気能率で、摂動計算8次の項の最終計算を発表し、引き続き、電子の異常磁気能率の8次の項の最終計算結果も発表した。また、電子の異常磁気能率の実験値は、一桁近く精度の良いものが2006年になってから発表され、その値と私たちの8次までの計算結果から、電磁相互作用の強さを表す結合定数(微細構造定数)αを、従来よりも一桁近く精度よく決めることができた。将来の実験計画を見据えると、異常磁気能率の理論値では10次摂動も無視できない大きさである。まず、ミューオンの異常磁気能率への寄与の大きいものを取り上げ、計算を行った。しかし、電子の10次の計算では、12672個からものファイマン図からの寄与があり、しかも、そのすべてが同じ程度の大きさで寄与する。そこで、計算の過程をすべて自動化することにした。最初に最も計算が困難であるフェルミオンループを含まない光子5個のみによる補正項に着目した。ファイマン図形を特定するわずかな入力から、運動量無限大の極限からくる紫外発散を取り除く繰り込み項までを含めて、数値計算プログラムを自動的に生成できるようになった。運動量ゼロからくる赤外発散については、今のところ光子の質量を有限に保つことで制御している。さらに、この計算で必要な有限繰り込み項の構成も自動的に行えるようにした。これらの計算プログラムを用いた数値計算が現在、実行中である。
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