研究概要 |
この3年間の基盤研究では,本研究代表者が発見した「紫外レーザー光誘起構造変化・価数変化現象」のダイナミクスに関して,系のサイズを小さくすると光誘起価数変化や光誘起欠陥生成が高速化されのではないかと考えて以下の研究を行い,励起子理論による解釈を行った。 (1)Eu_2O_3,Sm_2O_3のナノ粒子,ナノ粒子堆積膜 Eu_2O_3のナノ粒子膜のレーザー光誘起構造変化・価数変化現象のダイナミクスの評価を行った.その結果,ナノ粒子膜は焼結体,平滑膜と同じくレーザー光誘起構造変化・価数変化現象を顕著に示す事が確かめられたが,系のサイズの減少に伴う変化速度の高速化には至らなかった. (2)SrTiO_3バルク単結晶,ナノ粒子 ベルヌイ成長された単結晶から透明結晶に至るまでの各段階でのX線構造回折,誘電率・電導度,光吸収,フォトルミネッセンス,紫外光誘起スペクトル変化現象等について系統的な実験を行った.その結果,複合欠陥(酸素欠陥構造Ti^<3+>-酸素空孔-Ti^<3+>がSrTiO_3の特異な性質を発現しているとの結論に至った.また,この物質の表面ナノ加工されたバルク単結晶,ナノ粒子について光誘起構造変化や価数変化現象のダイナミクスについても詳細な実験を行った. (3)Y_2O_3ナノ粒子 Y_2O_3のナノメートルサイズの粒子で,室温での紫外レーザー光照射下で可逆な光誘起スペクトル変化現象を発見し,そのダイナミクスを研究した. (4)γAl_2O_3ナノ粒子,アナターゼナノ粒子,およびAgIとの複合体 γAl_2O_3ナノ粒子,アナターゼナノ粒子,およびこれらとAgIとの複合体試料で,室温での紫外レーザー光照射下で可逆な光誘起スペクトル変化現象を発見し,そのダイナミクスを研究した. (5)SiO_2ガラス 種々の石英SiO_2ガラスで,室温での紫外レーザー光照射下で可逆な光誘起スペクトル変化現象を発見し,そのダイナミクスを研究した.
|