研究課題/領域番号 |
15540327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
落合 明 東北大学, 極低温科学センター, 助教授 (90183772)
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研究分担者 |
青木 晴善 東北大学, 極低温科学センター, 教授 (60302246)
木村 憲彰 東北大学, 極低温科学センター, 助手 (30292311)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | スピン揺らぎ / ドハース・ファンアルフェン効果 / 強相関電子系 / 超伝導 / 重い電子系 / 遍歴電子強磁性体 / 量子臨界点 / フェルミ面 / 遍歴電子強磁性 / 遍歴電子協磁性超伝導 / dHvA効果 / 散乱緩和時間 / ZrZn_2 / UGe_2 / p波超伝導 / SCR理論 |
研究概要 |
本研究の目的は、スピン揺らぎを媒介とすると考えられている超伝導物質のドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果から、伝導電子の散乱緩和時間の詳細を調べ、スピン揺らぎと散乱の関係を明らかにすることである。採り上げた主な物質は、遍歴電子強磁性を示すZrZn_2と重い電子系反強磁性を示すCeIn_3である。 ZrZn_2は、同じく超伝導を示す遍歴強磁性体であるUGe_2と共通する異常強磁性相図を持つことを明らかにした。UGe_2は弱分極相から強分極相に転移する際に有効質量の増強が見られたが、ZrZn_2では有効質量の増強や散乱緩和時間の変化は観測されなかった。両者の違いは超伝導の発現に深く関与する磁性電子の違いに起因している可能性がある。一方で、ZrZn_2の超伝導は放電加工によって生じる表面効果であることを明らかにした。放電加工による不純物析出の可能性もあるが、加工歪によって超伝導が誘起されたとすると、スピン揺らぎが関与する超伝導と結晶の対称性が関係していることになりきわめて興味深い。 CeIn_3では、ドハース周波数(フェルミ面の体積もしくは形)、有効質量が少なくとも4つの特徴的な圧力で変化することを明らかとした。また、有効質量は磁場と圧力両方に対して変化し、アップとダウンスピンバンドの有効質量は異なる圧力変化を示すことを明らかにした。このような多段の変化はCeRh_2Si_2などの他の類型物質で見出されているドラスティックな変化と対照的である。このことは、同じCe化合物でも単一の枠組みで考えることはできないようにも思える。スピン揺らぎを媒介とする超伝導として有力な候補である量子臨界近傍の超伝導体は、共通した相図を持つことから、同じメカニズムで考えてもよさそうな気がするが、伝導電子を通してみると、必ずしも同じではなく、バラエティーに富んでいることが次第に明らかになってきたのではないかと考えている。
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