研究概要 |
1.非磁性細線Nと強磁性細線F1とF2からなる複合ナノ構造における非局所スピン注入とスピン伝導の理論的研究を行った.スピンに依存したボルツマン輸送方程式を解くことにより,スピン蓄績とスピン流の流れを最適化する条件を明らかにした。特に、非局所スピン流の注入により非局所スピン操作が可能であることを示した。 2.ハーフ・メタル量子細線と超伝導体からなる複合ナノ構造における非局所アンドレーエフ反射の研究を行い,交差アンドレーエフ反射が生じる特徴的スケールを明らかにした. 3.超伝導体/絶縁体/超伝導体接合(S/I/S)と超伝導体/強磁性体/超伝導体接合(S/F/S)の2つ,または3つの接合を含んだ超伝導リングからなるジョセフソンπ量子ビットを提案した。本量子ビットはゼロ磁場下で結合・反結合状態を形成するため、量子ビットの微細化や集積化が容易となる。 4.磁性半導体中の磁気不純物と価電子バンドとの強い混成により形成される磁性不純物準位の電子状態、および磁性不純物間に長距離強磁性相互作用の起源をHaldane-Anderson模型を用いて明らかにした。 5.非磁性金属(N)中における伝導電子の不純物によるスピン軌道相互作用の強さを評価する方法を提案した.さらに、非局所スピン注入法を用いて発生する純粋なスピン流が観測可能な非局所ホール電圧を生じることを明らかにした。 6.スピン流と磁壁の相互作用を記述する微視的な理論を構築し,電流による磁壁移動の運動方程式を提案した.電流駆動による磁壁移動ナノ構造磁気メモリー素子の提案を行った.
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