研究課題/領域番号 |
15540342
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川上 則雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10169683)
|
研究分担者 |
古賀 昌久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90335373)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | フラストレーション / 電子相関 / 遍歴電子 / 量子揺らぎ / 遷移金属 |
研究概要 |
本研究では電子のスピン・軌道の自由度に起因したフラストレーション効果の下で強相関電子系が示す多様な現象の起源を理論的に解明することを目標とした。また、この具体的なテーマを通して物性物理の基礎である「電子相関+量子揺らぎ」という基本問題についても包括的な考察を行った。このような量子揺らぎの大きい系を理論的に扱うには、平均場近似を超えた多体論の手法が必要である。電子相関とフラストレーションの効果を取り扱うことは一般に難しいが、フラストレート遍歴電子系の解析に威力を発揮する動的クラスタ近似を用いた。さらに、絶縁領域からの解析に数値援用型の強結合クラスタ展開、さらに金属相からのアプローチとして変分モンテカルロ法などを用い、スピン・電荷・軌道自由度がもたらす現象を系統的に調べた。特に、量子相転移点や臨界現象に注目し、微視的な観点から強相関電子系のダイナミクスを理論的に考察した。具体的なテーマとしては、以下に示す6項目に重点をおいて研究を実行した。 1.フラストレートしたモット絶縁体へのホールドープ効果 2.スピンアイス系でのフラストレーション効果 3.フラストレーションによる低次元化とその物性 4.希土類化合物における近藤効果とRKKY相互作用の競合 5.軌道とスピンの競合効果 6.カゴメ格子、チェッカーボード格子上の電子系 これらすべての項目に関して、当初の計画に沿った形で系統的な研究が実行できた。これらの成果は主に研究論文として発表し、3年間の合計で20本の原著論文を公表した。また、これらの成果は国際会議や国際シンポジウムの招待講演として発表した(計12回)。このように理論計算に大きな進展があったが、一方で実験結果の定量的な解析に関してはまだ検討の余地があるので、この定量的な問題を中心に今後とも残された問題に関する研究を継続していく予定である。
|