研究課題/領域番号 |
15540373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本庄 春雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (00181545)
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研究分担者 |
坂口 英継 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (90192591)
桂木 洋光 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (30346853)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 拡散律速凝集体(DLA) / フラクタル / 非線形・非平衡系の統計力学 / 散逸構造 / Tsallis統計力学 / 拡散場中の形態形成 |
研究概要 |
拡散律速凝集体が成長する空間次元とフラクタル次元の関係を調べるため、2次元空間における拡散律速凝集体においてランダム・ウォークが拡散律速凝集体に付着する確率分布を詳細に調べた。また、ランダムウォークが拡散律速凝集体に付着した場合の凝集体を1次元数列で表現する新たな手法を考案しその意味づけを探った。主な成果は以下の通りである。 1.付着確率分布は以前報告されていたようなガウス分布ではない。拡散律速凝集体のサイズ(粒子数)が小さい場合はガウス分布的であるが、サイズが大きくなるにつれて中心側にテイルを引く非対称な分布になる。 2.1.の結果を踏まえ拡散律速凝集体の内側と外側を分けて調べた結果、内側のfrozen zoneはポアソン分布的であり、外側のactive zoneではガウス分布的である。しかし、frozen zoneとactive zoneの境界は通常考えられている境界よりも中心側にある。 3.froze zoneとactive zoneの全体にわたって、凝集体の粒子数1個当たりの付着確率分布はベキ則分布でフィッティングすることも可能であるが、その指数が7ぐらいという大きな値になり物理法則としては疑問がある。 4.一般に、ランダム・ウォークの存在確率はガウス分布となるが、ランダム・ウォークが構造物に付着する場合はガウス分布を拡張したTsallis分布になることが知られている。そのズレを表す量がqであり、q=1がガウス分布を意味する。そこで、付着確率分布についてTsallis分布でフィッティングすると、qは1.02ぐらいで、通常、Tsallis分布で議論されている問題より非常に小さいことが判った。 5.拡散律速凝集体に限らず、凝集体が成長する場合の時間変化を1次元数列で表現する方法を考案した。その表現方法は付着する粒子に付着時刻(順番)の離散時間を与え、付着される凝集体の右隣にその付着粒子を置く、という方法である。その数列から、種粒子からどのように粒子が付着したか、その全てを知ることが出来る。 6.2次元の拡散律速凝集体にこの1次元数列表現を適用して、フラクタル次元がどのように表現されるかを調べた。拡散律速凝集体は明確な縮小写像関数が無くランダムさが導入されているため統計的な解析が必要になってくるが、現在、解析中である。
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