研究概要 |
高分解能で詳細な震源過程を明らかにするためには,詳細過程が反映されている高周波の地震動を解析しなければならない.高周波の地震動には地下構造の微細な部分が影響してくるので,現実的な三次元地下構造において計算された三次元グリーン関数を用いて解析を行わなければならないことを,これは意味する.本研究では三次元グリーン関数を用いた震源過程の高分解能解析手法を開発し,それらを国内の大きな地震の観測記録に適用することを目的にしている.平成15年度は,構造探査結果に基づいた三次元地下構造モデルとボクセル型有限要素法により高分解能解析手法を確立し,兵庫県南部地震に適用して妥当性を検証した.さらに16年度にはそれを国内外で近年に発生した地震(宮城県北部地震,十勝沖地震,ドゥズチェ地震など)の記録に適用した.適用にあたっては,まず一次元構造や半無限構造のグリーン関数を用いて予備的解析を行い次に,三次元グリーン関数の適用を行ったが,三次元構造を構築すること自体が困難であるだけでなく,そこでのグリーン関数を計算するにも長時間の大規模な数値計算を要するので,観測点ごとに異なる一次元構造を組み合わせて,擬似的に三次元構造を構成させる方法を新たに開発した(引間・纐纈,2005).こうした擬似的三次元グリーン関数も利用して,宮城県北部地震や新潟県中越地震の本震・余震群の震源過程を高分解能で解析した.また,本研究の研究期間の終了間際,平成17年3月20日に福岡県西方沖地震が発生したので,この地震にも開発した手法を適用して併せて検証を行った.
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