研究概要 |
古地磁気学において頻繁に利用されている非履歴性残留磁化(ARM)は、通常、交流磁場とバイアス直流磁場を平行にして試料に与えている(平行ARM)。本研究では、直流磁場が交流磁場と直交あるいは斜交するARM(直交ARMあるいは斜交ARM)を理論的かつ実験的に解明し、その応用をはかることを目標とした。以下に、平成15-16年度における研究成果を述べる。 1.平行・直交・斜交ARM付加装置の製作・校正 (1)0.5度以内の精度で直交性を確認した (2)印加電流vs.発生磁場の校正を高精度で実施した。 2.直交・斜交ARMの測定 (1)バルクの平行・直交・斜交ARM強度 比例則の成立:バルクARM∝外部直流磁場H(0-100μT) 平行ARM>斜交ARM>直交ARM。 (2)保磁力スペクトルに関する実験的発見 斜交ARMの加法性 OARM(AF ; DC1,DC2 ; Hc1,Hc2)=OARM(AF ; DC1,0 ; Hc1,Hc2)+OARM(AF ; 0,DC2 ; Hc1,Hc2) AF:交流磁場、DC1:コイル1による直流磁場、DC2:コイル2による直流磁場 ARM消磁曲線・獲得曲線の同一性 (3)低温消磁成分 LTD成分(多磁区粒子成分)方位//外部直流磁場H。 LTメモリ(単磁区・疑似単磁区粒子成分)方位は高保磁力側でより90°に近づく。 3.モデル化 OARMの主な性質を、形状磁気異方性SDの磁気エネルギーモデルで説明できることを示した。 4.応用 火山岩および堆積岩のSD/PSD/MD成分の評価に利用できる可能性を示した。
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