研究課題/領域番号 |
15540440
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地質学
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
伊藤 康人 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20285315)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 広域テフラ / 火砕流 / 古地磁気 / 第四紀 / 地殻変動 / 活断層 / テクトニクス / 地球科学 / 中部地方 / プレート境界 |
研究概要 |
本研究は、本州弧中央部における第四紀変動を、古地磁気測定に基づいて定量的に評価することを目的とした。本州弧中央部、すなわち中部山岳地帯は、島弧の衝突によって世界でも有数の歪速度で変形・隆起を続けている場であり、構造運動の研究対象として理想的な条件を具えている。当初の計画で掲げたように、空中写真判読などの変動地形学的手法で見出された活断層を示唆する線状地形(リニアメント)に沿って古地磁気試料採取を試みた。その対象として選んだのは、分布が広い大規模火砕流で対比される広域テフラも確定している前期第四紀の丹生川火砕流堆積物(約170万年前)と、後期第四紀の上宝火砕流堆積物(約60万年前)である。岐阜県高山市周辺に露出する丹生川火砕流堆積物について詳細なスタディを行った結果、第一級の右横ずれ活断層である江名子断層近傍で極めて特異な差動的回転運動が生じていることが明らかになった。その運動センスは、断層運動によって破砕されブロック化した岩盤が変形しながら相対運動して歪を解消するプロセスを保存しており、変形と破壊のメカニズムを理解する上で非常に重要である。一方、上宝火砕流堆積物の残留古地磁気方位を他地域のものと比較した結果、丹生川火砕流堆積物で確認された回転運動が後期第四紀にも継続していることが実証された。100万年未満の継続期間の地殻変動が古地磁気学的手法で有意に検出されたことは驚くべきことである。さらに、火砕流に対比される広域テフラの残留磁化方位を比較検討することによって、直下型地震を発生する可能性を持つ活断層の運動像が明らかになりつつある。すなわち、古地磁気方位が示唆する変形パターンは、近年大量のデータが利用できるようになった人工衛星によるGPS測量が示す地殻歪分布とよく似た傾向を示し、構造運動の累積性が確認されている。
|