研究概要 |
(1)光弾性偏光変調器(PEM)駆動装置の改良 フェーズロックドループを用いて駆動効率を最適化したPEM駆動装置を改良して周波数帯域を広くした.高周波水晶振動子の発振周波数を分周し,電圧制御発振回路を利用してPEMの共振周波数の変化をオートトラッキングするとともに周波数安定度を高めている.この分周比を可変とし水晶振動子を交換することによって,PEMヘッドを交換した際に共振周波数が違っても,駆動制御できるように改良した. (2)厚さの薄いPEMヘッドの製作 標準のPEMヘッドの厚さは6.4mmであるが,日本電波工業にQ値が高い水晶振動子,信越石英に溶融石英ガラスの製作を依頼し,厚さが2,3,4mmのPEMを製作した.電気的等価回路のR値が従来のものよりもずっと低く,より低い電圧で駆動できるので,残留ひずみが小さくアーティファクトを低減できる. (3)DNAの固体表面への吸着過程の研究 固体DNAフィルムのCD測定の基礎研究として,DNAの固体表面への吸着過程を調べた.DNAやタンパク質といった生体関連高分子の立体構造が,その高分子の生体内における機能発現に深く関与しているため,生体関連高分子の立体構造の変化を知ることは非常に重要である.そこで,CD測定によって,DNAの固体表面への吸着過程をin situで調べた. (4)固体CD測定によるポリ(ε-リジン)(ε-PL)の構造評価 微生物由来の生分解性高分子であるε-PLの固体状態での立体構造を,固体CD測定結果から評価した.アーティファクトを除去する手法を用いて,様々なpHの水溶液からキャストしたフィルムの固体CD測定を行った.酸性pHでは溶液状態とほぼ同じCDスペクトルが得られ,静電的に広がったコンフォメーション,一方,塩基性pHでは,結晶相はβ-シート構造をとり,非晶相ではα-ヘリックスに類似した構造への再配列が起きた可能性があることを見出した.
|