研究概要 |
トリプチセン-9-セレノセレネン酸(TripSeSeH)の合成検討 1.TripSeSeC(0)R型ジセレニドの合成 1.1)Se-9-トリプチシル=トリプチセン-9-セレノセレニナート[TripSe(0)SeTrip]とセレノカルボン酸[RC(0)SeH]との反応によりTripSeSeC(0)Rを合成した。置換基Rとしてはp-トリル基およびベンジル基のものを合成した。 1.2)セレノール(TripSeH)のアニオン(TripSe^-)に単体セレンを反応させ,次いでヨウ化メチルを加えたところ,TripSeSeMeが53%の収率で得られた。これはTripSeSe^-の生成を示す。この反応を酸で停止するとTripSeHが回収された。また,セレンの代わりに単体硫黄を用いた場合には,TripSeSHが15%の収率で生成した。TripSeSe^-の捕捉剤として塩化p-トルオイルを用い,対応するジセレニド,TripSeSeC(0)-p-Tolを20%の収率で合成した。また,塩化ベンゾイル,塩化アセチルを用いTripSeSeC(0)PhとTripSeSeC(0)Meを合成した。 2.TripSeSeC(0)Rの加水分解 TripSeSeC(0)-p-Tolの加水分解を酸性および塩基性条件でおこなったところ,生成比は異なるが,主としてセレノール(TripSeH)およびトリセレニド(TripSeSeSeTrip)が生成した。TripSeSeC(0)Meの酸加水分解をジクロロメタン-エタノール中,過塩素酸を用いて40℃で行った場合も,TripSeSeSeTripとTripSeHが1:1の比で生成した。TripSeSeSeTripは目的のTripSeSeHの脱セレン化水素を伴う二量化反応,TripSeHはTripSeSeHの脱セレンにより生成したと考えられる。
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