研究概要 |
ゼオライトナノ空間内におけるアゾベンゼンの光及び熱異性化挙動(フォトクロミズムとサーモクロミズム)を解明するため、溶液中における置換アゾベンゼンの反応挙動を詳細に検討し比較した。特にこれまで研究報告例のなかった二量体・会合体を経由する異性化機構を検証するため、水素結合型二量体を形成すると考えられる4-ヒドロキシアゾベンゼン(HOAB)のシス-トランス熱異性化挙動について、シス-HOABの半減期に及ぼす溶媒効果と酸塩基触媒効果を研究した。その結果、溶媒ベンゼン分子とHOABの会合体形成により、HOAB二量体形成が抑制されるため、シス体が著しく安定化されることを見出した(J.Phys.Org.Chem., in press)。理論化学的に検証するため、ab initio分子軌道計算に基づいて、HOABの水素結合型二量体の安定性を評価し、溶媒分子との相互作用や、熱異性化挙動について考察した(Chem.Phys.Lett., 408,197,2005)。 一方ゼオライトY細孔内においては、細孔内金属イオンとの相互作用により、アゾベンゼン分子間の相互作用が抑制されるため、シス体の生成が高効率で進行することがわかった(Res.chem.Intermed.,30,181,2004)。さらに本研究に関連する文献を検索して整理し、ゼオライト細孔内における光化学反応について総括した(Handbook of Photochemistry and Photobiology,2003;Encyclopedia of Nanoscience and Nano technology,2004)
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