研究概要 |
基本的な機能を集積して超機能を発現させることを目的としている.超機能とは組み合わせに使われた基本的な機能とは異なる高次の機能を意味する.基本的な機能としては光吸収能(色素),化学発光能,金属取り込み能,蛍光能,電子供与能などを用いた.我々が取り組んでいる超機能は上に示した化学発光能とイオン取り込み能を組み合わせた応答能である.課題の超機能発現の基本となる機能としてイミダゾール系発光系と金属取り込み能を組み合わせ応答性蛍光発系を構築した。これまでに取り組んできた4,5-diphenyl-2-(2-pyridyl)-imidazoleを展開しキレート部位を持つ2-(2-hydroxyphenyl)-4,5-diphenyl-imidazole 1へと発展させた。1のKOH/MeOH開始剤による化学発光効率はlophine peroxideの0.28倍であるが、開始剤をTBAF/THFに換え,溶媒をdry DMFにすると530倍にもなる.興味深いことに2位のphenyl基の0-,m-,p-また位に-OH基を導入するとKOH/MeOH開始剤による化学発光効率はほとんど同じであるばかりか低い。たとえTBAF/THF開始剤による化学発光効率はo-位に-OHがある場合だけ高くなり、m-,p-にあるものは相変わらず低いままである。この系の発光機構は複雑で、わからない点が多いいが、蛍ルシフェリンにも-OH基があり生物発光は高い効率であるのに化学発光は低い。これも-OH基にまつわる解明されないままの謎として残っている問題である。lophine hydroperoxidesからは一重項酸素の発生も認められる。一重項酸素発生の置換基効果を調べる目的で2-(p-置換phenyl)lophine peroxidesを用い一重項酸素発生効率を測定したところ、電子吸引基で発生効率の増大が認められ、電子供与基では化学発光効率の増加が認められた。さらには2,11-diaza[3,3]-paracyclo(9,10)anthracenophane誘導体の金属カチオンの存在下での応答性を観測した。以上当初の目的を充分に達成した。これらの研究への化研費の援助を感謝する。
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