研究課題
基盤研究(C)
研究代表者は基底多重項副構造を等骨格構造の複数の錯体について同時に決定する新しい方法を提唱した。本研究ではこの手法を用いて単核・複核希土類錯体の新しい物理化学的側面を開拓することを目的とした。この中で、特に「希土類錯体の単分子磁石挙動」と新しい現象を見出し、また「複核錯体中のf電子系間の相互作用の動的磁性への寄与」について新しい知見を得ることができた。1.典型的希土類錯体群(トリスジピコリナト錯体、フタロシアニン錯体)の、配位子場パラメータと基底多重項副準位構造を決定し、特徴的な磁化率温度依存性とNMR常磁性シフトの解明を行った。2.希土類二核フタロシアニン三層型錯体における二種類の希土類サイトの配位子場項パラメータを決定した。これによって、初めて二つの4f電子系間の相互作用の詳細を解明した。3.希土類単核フタロシアニン二層型錯体のうち、テルビウムとジスプロシウム錯体が極端な軸性磁気異方性を持つことを見出し、さらにこれらがはじめての「希土類単分子磁石」であることを発見した。4.上記希土類単分子磁石の配位子酸化により得られる、π不対電子とf電子を同時にもつラジカル型錯体が分子内π-f相互作用によって10K高温側で単分子磁石的挙動を示すことを明らかにした。5.二核希土類単分子磁石におけるf-f相互作用が動的磁性にどのような影響を及ぼすかを明らかにした。カップリングした2つの(Jz=±6)スピン系からなる4準位モデルによって実測を再現した。6.希土類単分子磁石における磁化量子トンネリングを始めて発見した。この現象が核磁気モーメントとf電子間の相互作用に起因することをあきらかにした。7.希土類トリスジピコリナト錯体の動的分子磁性が、f電子数の偶奇性によって二分されることを発見した。Kramars系錯体のみで静磁場下の磁気緩和時間の著しい増大が観測された。本現象の理論的解明に成功した。
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