研究概要 |
シッフ塩基を配位子とするV(V)-Ce(IV)-V(V)3核錯体、[{V^vO_2(L)}_2Ce^<IV>]とV(V)-Ln(III)-Ln(III)-V(V)4核錯体、[{V^VO_2(L)Ln^<III>(acac)}_2(H_2O)](Ln=Eu, Gd, Tb ; H_3L : N, N'-bis-3-ethoxysalicylidene-2-hydroxy-1,3-propanediamine ; Hacac : 2,4-pentanedione)を合成し、X線構造解析を用いてそれぞれの錯体の構造を決定した。これらの錯体では、3核錯体、4核錯体ともにジオキソバナジウム(V)錯体の部分のbasalオキソ配位子が中心のランタノイドイオンに配位して鎖状の3核構造と4核構造を形成している。V(V)-Ce(IV)3核錯体のバナジウム-basalオキソ原子間距離(1.711(3)Å)はV(V)-Ln(III)4錯体のバナジウム-basalオキソ原子間距離(1.664(4)-1.675(4)Å)より長く、V(V)-Ce(IV)3核錯体のbasalオキソ配位子はセリウム(IV)イオンに強く配位している。このように4核錯体と3核錯体の異なる構造が形成される原因は、中心のランタノイドイオンの酸化数(電荷)と強く関連があるものと推定される。 V(V)-Ce(IV)3錯体では-0.60Vvs.Fc/Fc^+に2電子酸化還元波が見られたが、B(B)-Ln(III)4核錯体では、この酸化還元波は観測されなかった。また、V(V)-Tb(III)4核錯体では、蛍光が観測された。この蛍光の強度には溶媒依存性があり、ジクロロメタン、アセトニトリル中と比較して、メタノール、DMSO中では強い発光が観測された。
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