研究概要 |
IrX(H)(O_2CR){(S)-binap}(X=Cl,Br,I ; R=O_2CC_6H_4Me-p)の構造を決定し、イミンの水素化触媒となる。Ir錯体および光学活性イミンの製造法として特許で公開した。 トルエン中室温下で、[IrX(coe)_2]_2(X=Cl、Br、I)に、2当量のBINAP、tolBINAPあるいはSYNPHOS、続いて過剰のハロゲン化水素酸をone-potで反応させると相当する[{Ir(H){(S)-binap}}_2(μ-Cl)_3]^+X^-(X=Cl,Br,I)が高収率で新規錯体として得られることを見出した。出発化合物として、[IrCl(coe)_2]_2を用いて、HBrあるいはHIを反応させると塩素原子が置換された[{Ir(H){(S)binap}}_2(μ-X)_3]X(X=Br,I)が高収率で得られることも見出した。即ち、[IrCl(coe)_2]_2から出発して、異なる[{Ir(H){(S)-binap}}_2(μ-Cl)_3]X(X=Cl、Br、I)を作り分ける方法を確立した。この錯体はイオン性ハロゲン三架橋2核Ir錯体であると決定した。基質に2-Phenyl-1-pyrrolineを、触媒前駆体に[{Ir(H){(S)-binap}}_2(μ-Cl)_3]X(X=Cl,Br,I)を用いて、不斉水素化を基質/Ir=4000,水素圧60気圧、20℃、3時間の条件で行った。その結果、Cl,Br,Iの順に、触媒活性は10,22,79%の順で活性が上がる。不斉選択性は89,90,90%eeを示し、ハロゲンによる大きな差が見られない。イオン性ハロゲン三架橋2核Ir錯体を国際特許で公開した。 中性[RhX(binap)]_2(X=Cl,Br,I)が、環状エノン類(ピペリテノン)の不斉水素化触媒となるので中性Rh-ホスフィン錯体の製造法として、特許で公開した。
|