研究概要 |
まず、キノリン誘導体の二つの新しい合成法を開発した。一つ目の方法は、2-イソシアノスチレン誘導体と、ケトン、アルデヒド、アセタールなどの求電子反応剤との、ルイス酸存在下の反応によるものである。二つ目の方法は、2-イソシアノ-β-メトキシスチレン誘導体と有機リチウムまたはリチウムジアルキルアミドとの反応によるものである。前者の合成法の応用として、2-(2-イソシアノフェニル)-1-メチル-1H-インドールの求電子剤存在下の環化反応により、6位に様々な官能基を有する11H-インドロ[3,2-c]キノリン誘導体を合成した。後者の合成法の応用として、2-シアノ-β-メトキシスチレン誘導体と有機リチウムまたはリチウムジアルキルアミドとを反応させることにより、イソキノリン誘導体を合成することができた。 次に、ヘテロ環縮合キノン類の合成としては、1H,5H-ピラノ[3,4-f]インドール-4,9-ジオン、12-ヒドロキシ-12H-チオキサンテン-6,11-ジオン、チエノ[2,3-f]ベンゾフラン-4,8-ジオン、チエノ[3,2-g]ベンゾフラン-4,5-ジオンおよびナフト[1,2-b]チオフェン-4,5-ジオンの各誘導体の合成を行った。 さらに、エノラートの反応を用いて、3,6,7,8-テトラヒドロ[3,2-c]オキセピン-4(2H)-オン誘導体、(3-イミノイソインドリン-1-イリデン)カルボン酸エステル誘導体ならびに3-(1-アミノアルキル)キノリン-2(1H)-オン誘導体を合成した。 最後に、オルト位に官能基を有するスチレン誘導体のヨウ素を用いる環化反応により、ベンズアゼチン誘導体ならびに4H-1,3-ベンゾジオキシン-2-オン誘導体を合成した。
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