研究課題/領域番号 |
15550110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子化学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
長瀬 裕 東海大学, 工学部, 教授 (40155932)
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研究分担者 |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ホスホリルコリン / ジアミンモノマー / 芳香族ポリアミド / ポリウレタン-ウレア / バイオマテリアル / 生体適合性 / 抗血栓性材料 / 膜透過性 / 抗血栓性 |
研究概要 |
本研究では、非吸着性のバイオ成分分離膜デバイスを目指して耐熱性と機械的強度に優れた生体適合性高分子材料を創製するために、脂質分子の極性基であるホスホリルコリン(PC)基に着目しPC基を含有する新規な重縮合・重付加系ポリマーの合成を行った。そのためのモノマーとしてPC基含有ジアミンモノマーを新たに分子設計して合成し、それを用いた重縮合あるいは重付加反応によりポリアミドおよびポリウレタン・ウレアの側鎖にPC基を含有するポリマー類を各種合成することができた。特に膜の機械的強度を高めるべく高分子量体を得る必要があるため、PC基含有モノマーの構造については合成、重合、物性評価を繰り返しながら最適な構造を見出した。また、XPS分析等を利用してポリマー膜表面の構造解析を詳細に行い、膜を水に浸漬させることでPC基が膜表面に局在化されることを明らかにした。さらに、ポリマー膜をヒト血液と接触させ血小板の吸着量を定量し、またSEMによる表面観察を行ったところ、PC基が20mol%程度導入されていれば極めて高い抗血栓性、すなわち生体適合性を示すことを見出した。特に、PC基含有ポリウレタン・ウレアは、高い生体適合性とフィルムやチューブを作製できる機械的特性を併せ持つポリマーとなる。したがって、本研究で得られたポリマーは医療用デバイスやバイオ成分の分離膜などに利用するにあたり実用的な素材となることが期待できる。 一方、透過性の高い高分子膜材料としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を側鎖に導入した同様な縮合系ポリマーの合成を別途検討し、PDMS鎖とポリエチレンオキシド(PEO)鎖を交互にグラフト化した新規なポリアミドがPDMS鎖による高い透過性とPEO鎖による機能(金属イオンへの配位能、親水性など)を併せ持つ分離膜素材となり得ることを見出した。 以上のように、本研究の最終目標であるデバイス化までは到達していないが、高い機械的強度や耐久性、透過性を示し生体適合性に優れた実用的な非吸着性マテリアルを開発することができたので、今後得られた素材を活用して実用的な医療用デバイスあるいは分離デバイスへの応用展開をはかる。
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