研究概要 |
1.非希釈コロイド分散系のシミュレーションに際して,計算時間の大幅な短縮化が計れる新しいストークス動力学法であるcluster-basedストークス動力学法の検討を行った.本方法は定常およぶ非定常状態のシミュレーション法として,計算時間を大幅に短縮でき,従来の方法に比べて圧倒的に優れていることを明らかにした. 2.コロイド粒子間の多体流体力学的な相互作用を,流体を構成する分子をある程度ひとまとめにした仮想粒子である散逸粒子とコロイド粒子の相互作用により再現できる散逸粒子動力学法の妥当性の検討を行った.非平衡動力学法を用いたシミュレーションを行うことにより,散逸力に基づく粘度の場合,理論値と非平衡動力学シミュレーションによる値は非常によく一致することがわかった.散逸粒子動力学法は,コロイド分散系の多体流体力学的な相互作用を考慮したシミュレーション法として有望な方法であることを明らかにした. 3.散逸粒子とコロイド粒子が相互作用する系を対象に,散逸粒子動力学法の妥当性をさらに検討した.静止流体中に置かれた二つの磁性粒子が粒子間の磁気力により結合する現象に着目し,散逸粒子と磁性粒子との相互作用を種々のモデルで検討した結果,相互作用のモデルには大きく依存しないことがわかった. 4.棒状粒子の多体相互作用を考慮するために,平均場近似を適用した理論解析を行い,単純せん断流中での強磁性棒状粒子の配向分布とレオロジー特性を詳細に検討した.基礎方程式をガラーキン法と反復法により解くことにより,たとえ粒子間相互作用が熱エネルギー程度であっても,まわりのクラスタが中央のクラスタに十分近づけば,大きな粘度増加が生じることを明らかにした.
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