研究概要 |
種々の共役系高分子を合成し,その炭素化挙動を検討し,炭素材料の設計合成に関しての研究を行なった。その結果,1,主鎖がベンゼンと炭素-炭素三重結合からなる共役系高分子は従来の炭素化原料として用いられてきた高分子材料に比較して,90%以上の高収率で炭素化されて単純なメカニズムで炭素化される優れた炭素化原料であることがわかった。2,このポリマーの900℃焼成炭素化時に形成するグラファイト状積層単位構造は,2〜4nmの広がりをもち,用いる共役系高分子の原料構造により大きな変化はないが,そのグラフェン面の積層間隔(4A)は通常のグラファイト(002)層間よりかなりひろく原料骨格の硬さが炭素化物の構造に大きく影響していると考えられた。3,合成した多くの共役系高分子は骨格の硬さと900℃焼成により生じる積層単位構造からその炭素化収縮過程でミクロ孔を主体とする多孔性炭素化物を生成することが明らかになった。4,主鎖骨格あるいは主鎖にヘテロ原子を導入したポリマーを合成し,ヘテロ原子含有多孔性炭素を高収率で調製するこが可能になった。5,フラーレン(C60)を上記ポリマー溶液に溶解・混合した材料を調製し炭素化することにより,ナノカーボンを含有する多孔性炭素を調製することができた。6,さらに金属ポルフィリン自体あるいは上記高分子と共重合することにより炭素化原料を調製し,炭素化することにより金属含有多孔性炭素を調製することができた。 以上,本研究で新しい炭素化ポリマー原料を合成開発し,それらが,炭素固定化率が高く多孔性炭素化を行なうことができる有用な炭素化原料であることを明らかにした。さらに,本手法を用いることによりヘテロ原子,ナノカーボンや金属が高分散化された新規多孔性炭素を調製することができるようになり,機能性炭素電極,触媒への応用が期待できるようになった。
|