研究概要 |
非線形非凸計画問題に対する大域的・発見的ハイブリッド算法として,当初は分枝限定法における上界値を局所探索によって強化し,計算途中で算法を強制停止させたときに出力させる暫定解を,既存の発見的算法に匹敵する精度に高めるプロトタイプを作成した。しかし収束を待ったときの計算時間が,局所探索を行わない場合に比べて著しく劣るだけでなく,暫定解の精度も予定したよりも向上しないことが判明したため,局所探索の手続きを取り止め,限定操作に用いる下界値を2段階に強化する算法に設計し直し,主として以下の4種類の非線形非凸計画問題にカスタマイズして適用した: (a)線形分数和の最小化問題,(b)低ランク非凸性のある凹最小化問題,(c)分離不能凹費用の生産輸送問題,(d)化学プロセス設計のための2階微分可能非凸計画問題. その結果,(a),(b)に関しては算法の初期段階で暫定解が大域的最適解に等しくなることが明らかになった.このことは発見的算法として十分に実用性のあることを意味する.また大域的算法として用いた場合でも,既存の算法よりもはるかに効率のよいことが計算機による比較実験で確認できた.(c),(d)に関しては,その問題構造を活かして算法をさらに効率の良いものにできる可能性はあるものの,十分な実用性を認めることができた.この他に,算法の途中で何度も解決の求められる緩和問題に対し,内点法の適用を考察し,理論的に良好な知見を得ることができた.
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