研究概要 |
メッシュレス境界要素法は,非均質材料や非線形問題にも適用できる新しい境界要素法である.メッシュレス境界要素法は,支配積分方程式中の物体力など非同次項に由来する領域積分項を,境界積分に変換する二重相反法(Dual Reciprocity Method : DRM)を,非均質材料の問題に適用する数値解析法である.右の図に示すように,境界と領域内に配置した選点で未知量を考える必要があるものの,領域を要素やセルに分割する必要がなく,これまでの我々の研究では高精度な解が得られることがわかっている.有限要素法に由来するメッシュレス法との対比からメッシュレス境界要素法と呼ばれつつあるが,領域積分の評価は全く必要としない利点がある. 平成16年度は,メッシュレス境界要素法に関して下記の成果を得た. ・材料の非均質性を仮想的なソース項と見なす定式化を行うことにより,ソース項を二重相反法で近似した領域メッシュレス型の境界積分方程式を導出することができる.ここでは,実際の三次元物体のソース分布同定の逆問題解析プログラムを作成し,境界の温度と熱流束から逆解析を行う問題を解析し,有効性を検証した. ・上の定式化で求めたソース項から非均質な熱伝導率の同定するアルゴリズムと解析プログラムを開発した.さらに,これを非均質な温度依存性の熱伝導率を有する熱伝導問題と熱弾性問題を解析する方法を開発した. 物体境界の温度と熱流束が誤差を含む場合について,二次元問題と三次元問題について,数値実験を行い,Tikhonovの正則化と特異値分解を併用することにより,複雑な分布の熱伝導率も同定可能であることを,数値実験により示した.
|