研究概要 |
まずデジタル画像相関法の改良に取り組んだ.改良手法として3色デジタル画像相関法、ラグランジュ補間によるデジタル画像相関法を確立した.この2種類の手法では後者のラグランジュ補間デジタル画像相関法が精度向上には有効であることが分かった.さらにひずみ分布に勾配がある場合にも適用出来る3次近似デジタル画像相関法を構築し、これが応力集中部のひずみ分布計測に有効であることを立証した. 次に893Kおよび常温においてアルミナおよびジルコニア溶射を施したSUS304につき疲労試験を行った.コーティングによる高温疲労強度向上の要因として基材界面のはく離強度に注目し,ボンド層の拡散熱処理が疲労強度に与える影響について検討した.特に疲労試験中の表面ひずみをレーザスペックル法で連続計測し,表面ひずみとはく離損傷との対応関係を明らかにし,各溶射材のはく離損傷過程の比較を行い,はく離強度が破断寿命におよぼす影響について検討した.縦断面や破面の観察結果とあわせ以下のことが明らかとなった. (1)ボンド層大気溶射材(APAC,APZC材)ではボンド層に疲労き裂が発生しやすいため,基材界面がはく離しやすいAPAC材の方がAPZC材より長破断寿命であった. (2)皮膜のき裂が基材にそのまま進展し比較的短寿命となった上記のAPZC材の場合でも基材(AN,BS材)より長寿命となった.これは大気溶射により作製した皮膜のヤング率が低いためであり,大気溶射の場合被覆することによって寿命が低下することは無かった. (3)ボンド層減圧溶射材(LPZC,LPZC-T材)ではボンド層に疲労き裂が発生し難いため,基材界面がはく離し難いLPZC-T材の方が長破断寿命であった. (4)ボンド層大気溶射材よりボンド層減圧溶射材の方が長破断寿命であったので,寿命を向上させるには強固なボンド層を密着強度良く基材に被覆することが有効であることが分かった.
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