研究概要 |
昨年度までに,(1)Cuとその被成膜面の表面エネルギーの違いにより,成膜時にCu粒子が付着した際の濡れ性が異なるため結晶子サイズが異なる.また,膜の成長にともない被成膜面の表面エネルギーの影響が減少し結晶子サイズが変化するため,膜厚方向に結晶子サイズの分布ができる。また,(2)完全に膜状となる数百nm以上の膜厚においても,発生する残留応力は結晶子サイズに依存する.つまり,今回測定した残留応力の主要因は結晶の接触時に発生する真性応力であることが明らかとなった. 今年度の研究では,基板温度が結晶子サイズにおよぼす影響について検討するために,基板温度を昨年度の室温から200℃に変更し,また,Al膜を新たな評価対象として加えた.これらの試験片を用いて,残留応力測定およびイメージングプレートを用いた結晶子サイズ観察を行った.その結果,Cu薄膜の膜厚100nmにおいては基板温度の上昇による結晶成長と,引張残留応力の低下が確認できた.Cu薄膜では膜厚50nm以下の残留応力測定および細束X線回折測定は困難であった.Al薄膜では,膜厚の増加により圧縮残留応力から引張残留応力へ変化することが確認できた.
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