研究概要 |
小径内面研削盤の機上で形状修正が可能なロータリドレッサ駆動方式として,砥石周速度に対するロータリドレッサの周速度比がほぼゼロに近い条件でドレッシングを行う極低速回転型ロータリドレッサを選定した.ドレッサの接触剛性を高めるために3点支持方式のジャーナル軸受でスピンドルを構成し,ラジアル剛性40N/μmを達成した.また,AEセンサを設置することによりドレッサ切込み0.1μmの検出を可能にした.次に,算盤玉形ロータリダイヤモンドドレッサとして,ダイヤモンド砥粒単層埋め込み型ドレッサとメタルボンドダイヤモンドホイールを代用したドレッサを選定し,ホイール作業面の生成機構を解析した.また,SUJ軸受鋼の内面プランジ研削実験を行い,研削性能に及ぼすドレッシング条件の影響を検討した.得られた結果を以下に示す. 1)極低速で回転するロータリドレッサを小径砥石に適用した場合,砥石作業面の軸方向にドレッサと接触しない部分(ドレスむら)が発生することがある. 2)ドレスむらを避けるためには,ロータリドレッサ円周上のダイヤモンド砥粒の間隔をできるだけ短くすることが肝要である.ダイヤモンド砥粒単層埋め込み型のドレッサではこの間隔の調整範囲に限界があるが,メタルボンドドレッサの場合には可能である.すなわち,メタルボンドホイールは機上で修正可能な小径砥石用極低速ドレッサとして有効である. 3)メタルボンドダイヤモンドドレッサはカップ型GCカップ砥石で機上での形状修正が可能である. 4)メタルボンドダイヤモンドドレッサはダイヤモンド砥粒単層埋め込み型ドレッサに比べて研削の進行に伴う研削抵抗の変化が少ない. 5)メタルボンドダイヤモンドドレッサの粒度(粒径)が小さくなると,研削抵抗は増加し,研削仕上面粗さは向上し,砥石半径減耗量は小さくなる傾向にある.CBN砥石の粒度が#140の場合,その最適値は#270程度である.
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