研究概要 |
光学式仮想Vブロック方式による3次元の回転誤差測定システムの開発を行った. まず光学式仮想Vブロック方式を用いて測定対象が持つ形状誤差の影響を測定値より分離し,傾斜誤差運動を測定する方法を理論的に示した.次に測定対象が持つ偏心と傾きによる回転誤差を分離しスピンドルの回転誤差を算出する方法を示した. 以上の理論的背景を基に回転誤差測定システムの設計を行った.測定システムは上下の2カ所に3組の透過光方式による変位計により構成される測定面を持ち,各変位計の出力から信号処理装置をとおしてパーソナルコンピュータに取り込み解析を行う.この装置によって2断面の半径方向誤差運動を測定し,3次元の回転誤差を算出する.50UPRまでを評価する目的で,光学式仮想Vブロック方式において性能を決定する挟み角αと傾き角βについて最適な角度を求めた結果,α=55°,β=12°となった. 試作した測定システムの基本性能を測定した結果,定常安定性は上部測定面において±0.92μm,下部測定面において±0.67μmとなった.また外乱光による影響は少なかった. このシステムによって工作機械の回転誤差測定を行った.また静電容量型変位計を用いた2点法による回転誤差測定システムによる測定結果の比較を行った.その結果,本則定システムでは変位計の測定精度が原因で回転誤差を測定することができなかった.また2点法の測定では,測定対象の形状誤差によって測定精度が上がらず回転誤差を測定することができなかった.測定対象の形状誤差を変更せずに測定精度を改善するためには本測定システムにおいて変位計の測定精度向上が必要であることが分かった.
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