研究概要 |
ナノ・マイクロトライボロジーの分野において,「耐摩耗性と摩擦力の極小化」の両特性を併せ持つ機能性表面の創成とそのメカニズムの解明が求められている.本研究では,フェムト秒レーザを用いることで,超微細加工が困難なDLC膜の表面にナノスケールで制御された規則的なテキスチャリングを施すとともに,試験条件や試験雰囲気の最適化を図ることで無潤滑条件下での摩擦係数0.02以下の低摩擦を発現させることを目的とした. 平成16年度は,平成15年度の設備備品として準備した原子間力顕微鏡(AFM)用雰囲気制御チャンバーを用いて,相対湿度を変化させた大気中でナノ摩擦実験を行うことにより,低摩擦発現条件の特定とその発現機構を解明を目指した. (1)相対湿度を変化させた雰囲気中でのナノ摩擦試験 曲率半径の異なる探針を用いて摩擦力と凝着力の荷重依存性を調べ,ナノテキスチャリング形状と試験条件が水平力に及ぼす影響について検討した. ・ガラス球探針の場合,高湿,高荷重条件を除き,表面制御を施していないDLC膜よりも水平力が低くなった. ・相対湿度によらず,垂直荷重の増加に伴い水平力は増加し,この傾向は,表面制御を施していないDLC膜でも同様であることがわかった. (2)微小な表面の凹凸が水平力に及ぼす影響(超撥水膜を用いた場合) ・曲率半径が小さいSiN探針の場合,表面の凹凸の傾きの増加と共に水平力も増加した. ・曲率半径が大きいガラス球探針では,水平力は表面形状の影響を受けにくく,ほぼ一定の値になった. (3)フェムト秒レーザによる窒化物系セラミックス膜のナノテキスチャリング DLC膜に対して行ったフェムト秒レーザによる表面処理をTiN皮膜についても同様に行い,ナノスケールで制御された規則的なテキスチャリングを施すことができた,
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