研究概要 |
地球温暖化防止に貢献するため,従来とは異なりロータ(ランナ)の回転面を流れに対して水平近くに取り,水深の浅い渓流や河川などで水流幅いっぱいのエネルギーを吸収することを目指す"ジャイロ形水車"を提案した.導水管敷設などの土木工事なしで簡単に設置することができ,水流の撹乱も少なく自然の生態系にやさしい水力発電の一方式である. 完全特性のわかっている反りのないNACA0018翼型からなる弦長40mmのブレード3枚からなるロータ(回転直径500mm)を用いた研究により,次のような知見を得ることができた. (1)流速が異なっても各性能曲線は似た傾向を示すが,ブレードスパン方向に層流,遷移,乱流領域が混在し今回の実験範囲では相似則が成り立つとは言い難い. (2)本ロータの回転面は流れに対して傾いているのでブレードへの相対迎え角は1回転中に大きく変わる.そこで,ブレードの前縁が上流を向いたとき,半径位置によらず揚抗比が最大となるように前述のブレードにひねりを加えた.ロータの傾きやブレードの取付け角に対する単位出力の傾向はひねりのない場合とさほど変わらないが,ひねりをつけることにより約20%出力を向上させることができた. (3)ロータ前後の水位差はロータの周速比が増加するほど大きくなるが,ロータの出力のみには依存せず,ブレード形状の違いによる流れの影響も大きい. (4)相対迎え角が大きい揚合ブレード前後縁のはく離によって翼面から離れた位置に大きな渦が生じるなど,ブレードまわりの流れと圧力分布を,数値解析により明らかにした.
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