研究概要 |
マイクロポンプはスマート機械,マイクロマシンの燃料供給や制御・伝達システムと密接に関わることから,その開発が急務とされている.マイクロマシン等が対象とする微小領域ではレイノルズ数が極めて低く,回転型ポンプとしては粘性を利用する方法が有効である.本研究ではローター型粘性利用マイクロポンプの性能特性及びポンプ内部の流動特性を実験並びに数値シミュレーションにより解明を試みた.主な結果としてローター型粘性利用マイクロポンプは右下がりの性能特性を有し,性能曲線は編心率や流路高さに大きく依存することがわかった.また,粘性ポンプの適用範囲を検討するために,フローパターン並びにポンプ性能に及ぼすレイノルズ数の影響を調べ,本研究条件ではローター直径,ローター周速をそれぞれ代表長さ,代表速度としたレイノルズ数が100以下でストークス近似が成立することを確認した.さらに,ポンプ性能には使用流量に応じた最適流路高さが存在することから,常に最適条件下で運転するために,ポンプに可変ゲートを配してポンプ性能を制御する方法を考案した.この研究からはゲート幅がローター直径と同程度であれば,様々な使用流量に応じてポンプ最適化を十分実現できることがわかった.また,ローター型粘性利用マイクロポンプの最大効率点は最大流量の1/2であることを示した.研究全体を通して,モデル実験と数値計算とを行ない比較・検討をしてきたが,実験結果と計算結果との差異は,主に液体の粘性係数の温度依存性に起因することが明らかとなった.
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