研究概要 |
本研究の目的は,準剛体回転流体中において広範囲の粒子物性をもつ粒子状物質を高精度・高速に分級する技術を開発することである.この分級方式の特色は,安定な準剛体回転流中での分級なので,従来の分級方式に見られるような微粒産物への粗大粒子の混入が絶対に起こらないこと,流れが層流なので微粒子の運動軌跡の理論から分級の理論的考察が可能であること、分級径を制御する各種パラメータの設定が容易であることなどである.筆者らはこれまで,安定流が得られるハウジングとコアの回転数と流量の条件,ハウジングとコア形状の分級性能に与える影響,ならびに真比重が1付近の球形粒子の分級性能について明らかにしてきた.しかし,工業的ニーズとして真比重が2よりも大きい粒子に対する分級や,より鋭い分離性能が要求されている。そこで本研究では,分級性能に与える真比重の影響について実験的に考察するとともに、数値シミュレーションにより、エックマン層やスチュワートソン層内における微粒子分布の確率密度分布を求め、分級メカニズムを解明し、より精度の高いシャープな分級を実現するための基礎データを得る努力をした。以上の結果は粉体工学会講演会、日本機械学会東海支部講演会において発表された。また、国際会議においても発表の予定である。これらの内容をごく簡単にまとめると次の通りである。 1.重力を考慮したスケール則を明らかにするため、遠心効果パラメータCe、重力効果パラメータGe、粒子レイノルズ数Repを定義し、主たる分級場であるスチュワートソン層内の流速と微粒子の流速の差についてこれらのパラメータによる影響を考察した。 2.数値シミュレーションを用いて、エックマン層やスチュワートソン層内の微粒子の軌道や微粒子分布の確率密度を求め、分級のメカニズムについて考察した。
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