研究概要 |
本研究の目的は,最初に微小流路の流れを3次元的に計測するためのPIV技術を開発し,ついで,それを用いて流路内の流動に及ぼす気液界面の影響を調べることである. 本研究開始以前の3次元マイクロPIV計測では,2次元PIVの集積として3次元空間の速度分布を計測する方法がすでに行われていたが,3次元空間の瞬時の速度分布を計測する試みはなかった.しかし,2005年後半には3次元マイクロPIVを実現できる3種類の撮影方法が提案されている.それらは1)ステレオ撮影法,2)デフォーカス法,3)デジタルインラインホログラフィ方法などである.本研究では,微小流路の流動計測に適用できる上述の3種類(数え方によっては4種類)の方法を独自に改良して実用的に使用できる技術とした. 3次元マイクロPIV計測ではステレオ撮影法は2台のカメラの相対的な位置調整(カメラパラメータの決定)が極めてデリケートで難しく,振動に対して過敏である.この問題を回避するために,較正が容易で計測精度の優れた新しい単眼撮影法を開発した. 本研究の計測対象は代表寸法が10μm〜1mm程度の流路に気液界面が存在する場合の流動現象である.本研究では十分な実験計測を行うところまで至っていないが,固体壁の直線流路とY字型流路において試験計測を行い,それぞれの撮影法で必要な計測精度を得られることを確認した.また,十字型流路において一方の流路側から交叉流路側に気泡が押し出している状態での流れ状態を試験計測している. 本研究で開発した光学的方法は流路壁による屈折の影響を回避できない,また3次元構造の流路の計測も不可能に近い.この問題を解決するために,微小領域を高解像度で撮影し,3次元マイクロX線PTVを実現できるX線PIV可能性を放射光施設を使って確認できた.この点については新しい課題として今後とも研究を進める予定である.
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