研究概要 |
研磨材を水に混入してスラリーとし,それを直接加圧することによって墳出させるアブレシブジェット(アブレシブ・サスペンション・ジェット,以下AWSJと略記)を水中における穿孔や切断作業に用いようとする場合,加工に有効なスタンドオフ距離範囲が狭いために跳ね返り噴流によってノズル自身が損傷を受ける危険性がある.また,狭隘な環境下ではノズル本体と被加工物間の距離を小さく設定することが困難な場合がある。 本研究では,AWSJを水中での加工に用いる場合,加工に有効なスタンドオフ距離範囲を広げる方法として鞘付きノズルを提案した.さらに,同ノズルを用いることでノズル本体と被加工物間の距離を離すことが可能であり,その際の加工能力減少は,鞘なしノズルを用いて同じ距離だけノズル本体と被加工物間を離した場合と比較して著しく小さいことを示した.また,鞘内流動の様相観察から,鞘から噴出するAWSJの加工能力があまり低下しないのは,鞘内に気相域が形成されるためであることを明らかにした、このことから鞘内部に通気することでさらに大幅な加工能力の改善が図られるのではないかとの着想に至り,通気した鞘付きノズルのせき止め圧分布測定を行うことで,通気鞘付き.ノズルを用いることで水中AWSJの加工に有効なスタンドオフ距離範囲を大幅に拡大できる可能性があることを示した.また.鞘付きノズルを用いて形成されるキャビテーション噴流の壊食特性実験から,鞘直下流においては鞘内径程度の範囲に強い壊食性を持つ領域が形成されるという特異な特性が明らかにした.このことから,洗浄やピーニングにキャビテーション噴流を有効利用しようとする場合、キャビテーション噴流の加工域を限定する目的のために鞘付きノズルの使用が可能であることを示した.
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